「若君、お顔が真っ青でいらっしゃいます!どうか、なされました!?」

女房が心配して駆け寄って参った。

「少し、気分が悪いんだ。寝所の支度をしておくれ。眠りたいんだ。」

早速、女房が褥を用意して、すぐに貴久はお休みされた。

(ごめん。ごめんなさい。崇子様。僕は死ぬことにする。慕っていた崇子様を置いて、誰かと結婚なんて、出来ない。)

枕元は涙で濡れてしまって、お顔も涙の跡がついてらっしゃる。

「若君、薬湯を、枕元に置いておきます。どうか、お飲み下さいませ。」

女房がそっと、枕元に薬湯を置いて去ろうとした。