瑠莉は本当ならば言わないが、いや、流石と思える。

「姫君。」

車の中の者は常磐を姫君と呼んだ。
どうやら、優しそうだ。

「三条の姫君と言えば、琵琶の常磐の君か………それとも。」

「常磐様で御座います。御名答でいられますわね。」

瑠莉は下を見ながら、車に近づいて行った。

「常磐の姫君?」

中の者は窓を開けて、常磐のことを見下ろした。勿論、常磐の顔はハッキリと見えない様にしている。

「いや、美しい方。人に攫われずによかったですね。」