玄関に脱いである先生の靴を見て気付いたのか、お母さんがリビングに向かって声を飛ばす。



「…やっべ」



先生は曲がったネクタイを直し、ボサボサになった髪を手でとかし、机の上のビール缶をまとめ、ソファから腰を上げた。



「…ご挨拶してくる」



コソッと耳元で一言。





……どう思われるんだろうなぁ




少し心配な心地でリビングで待機していると、



「あら〜、もぉっ、やだぁ!」


「あはは…!」



向こうの方からお母さんと先生の楽しそうな声が聞こえてきた。





一先ず大丈夫、か…