「今日から遥香ちゃんの家庭教師になりました、佐野悠太です。よろしくね」



それは、あまりに唐突だった。



「え、カテキョ?うちに?」


私、安田遥香は部屋に入った瞬間、驚きで頭の中が真っ白になってしまった。


「え、そうだよ?お母さんから聞いてなかったかな…」


そういう佐野っていう男の人は、困ったなと言った感じに苦笑している。



きいてないいいい!
だいたい私にカテキョなんて…



「あのぅ…」


「ん?」


「カテキョなんて付いても私たぶん、成績上がりませんよ…」



自慢じゃないけど私は過去に塾にも通ったりしていた。


が。


「成績が上がったことなんてないし、むしろ下がったし!」



勉強に対する嫌悪感が強いらしく、ストレスも溜まりに溜まって塾にも行かなくなったりしたのだ。



「それなのにまたカテキョって…」


「大丈夫だよ」


私の言葉を遮るように佐野さんは言った。


「君は俺の言うことだけ聞いてればいい、、、ね?」


自信ありげな佐野さん。


優しく、艶のある笑顔。




私はこの時、まさか先生との禁断の恋に落ちるなんて思いもしなかった。