翌日、さっそく陽光が菜月に聞いていた。
「おすすめのお店、ですか?」
「そ、菜月ちゃんが良く行く店とかね」
「あたしほとんど行きませんよ?」
 その言葉に驚いているのが分かった。
「行かないって……」
「あたし、学校行って、ここでバイトして家帰っての繰り返しなんで」
「じゃあ、土日は?」
「家でまったりしてるか、寝込んでるかです」
「寝込んでる?」
「土日休みにこだわった理由なんですけど、あたし元々身体そんなに丈夫じゃないんです。だから……」
「よく、それであんなの了承するね」
「だって、ここ駄目だったら、他にバイトできそうなところありませんし。逆に少し体力ついてきたかなって」
 楽しそうに笑っている。
「それでたまにバイト休んだりしてるんだ。あ、責めてるわけじゃないよ?でもそんなに休んでないよね?」
「だから土日は家で休むようにしてるんです」
「服はどこで?」
「あたし昔からあまり出かけなかったんで、どういうのが流行ってるとか良くわからないから、買ってきてもらったのを着たりしてます」
「年頃の女の子なんだから、少し買い物とか」
「クラスの子とあまり仲良くないので、行かないんです。欲しいなと思ったものってお願いして買ってきてもらってますし」
 そんな話をしていたら、聖が戻ってきた。
「おや、店に人影が多いと思ったらお前たちか。残念だね。緋炎、話がある」
 促されるままについていくと、揺さぶりをかけろと。
「いい加減腹の探りあいに飽きた。あの子が何者なのかはっきりさせたい」
「分かった」
 そしてまたいつものように妖魔の駆逐に行けと。
「菜月も連れて行きなさい」

 ついた先で、陽光の支援を受けつつ駆逐していく。菜月の能力は周囲にいわせれば「守り」「敵索」向きだと言う。だから相手の呪術にあわせやすいのでないかと、聖は付け加えていた。
 すぐに息があがる。どんなに頑張っても保つのは十分。それが現状なのだ。
「大丈夫か?」
「は……はい」
 顔色も良くない。身体が丈夫でないのなら、今日は具合が悪いのかもしれない。
「終わった。帰るぞ」
「え?」
 菜月が驚く。今までここで話していたせいかと思った。
「まだ、います」
「な!?」
 思わず携帯に向かって怒鳴る。
「陽光!支援再度頼んだ!!」