優しい魔女は嘘をつく


堂本くんが手を挙げれば譲るのが普通だけど、河合くんは引かなかった。



双方から、やりたくない、という気持ちが痛いほどに伝わってくる。






……どっちが「王子」になるんだろう。





ごくりと息を呑む。重い空気に包まれた教室に、中本さんの声が響いた。





「それじゃあ、公平にじゃんけんで決めましょうか」





どく、どく、と鼓動が速くなるのが分かった。




私はそおっと自分の席に着き、二人のバトルを見守ることにした。



「頑張ってね」と後ろから声をかける。堂本くんは小さく頷き、右手を前に出した。



「最初はグー」と中本さんが言う。






「「じゃんけん、────」」