優しい魔女は嘘をつく


そこで初めて教室の中を見渡して、気づく。堂本くんと私以外が、誰もいないことに。




おっと……これは予想外の事態だ。




堂本くんは、よほど気分が悪いみたいで机に伏せていた。



これじゃ、ますます話しかけづらくなってしまった。どうしよう。堂本くんに聞いた方がいいのだろうか。






………………聞、く?







「あの……堂本くん」




何?と、くぐもった声が聞こえてくる。私は震える声でたずねた。






「私の……こと、見えてるの……?」



「……」



「この声、聞こえてる?」