優しい魔女は嘘をつく


「保健室行ったら?」



「こんな朝早くに来て、保健室に先生いると思うか?」




怒っているからなのか気分が悪いからなのか、堂本くんは歪んだ表情で「馬鹿じゃねぇの」と言った。




時計を見ると、針は七時半を指していた。え?七時半!?



どうして堂本くんは、風邪を引いたうえに朝早くから学校に来てるんだろう。




まぁ、私も……ついさっき登校して、眠くて寝てしまっていたんだけど。



早起きして学校に行けば、家にいなくていいし。誰もいない教室って、なんか落ち着くんだよね。





そんなことを考えていたら、ふと、手紙のことを思い出してハッとする。



机の上にもない。引き出しの中に手を入れても、中の冷たい金属が触れるだけだった。



あ……そうだ。




私は確か昨日、最初に来た人に話しかけるって、決めたんだった。