優しい魔女は嘘をつく


まさか、堂本くんが方向音痴だったなんて……。





「……一人で行くもんじゃねぇな」



「か、帰ってこられて良かったね」




苦笑いして言うと、堂本くんは、「ホントだな」と重い息を吐いた。



あれ?昨日のことがあったのに、私、普通に堂本くんと喋れてる……。



堂本くんが積極的に話しかけてきているような気がするのは、気のせいだろうか。





疑問に思った時、堂本くんが急に咳き込んだ。



よく見ると、体調がすぐれないのか、顔色が良くなかった。というか、見れば見るほど死人みたいな顔に見えてくる。






「体調悪いの?」



「……たぶん風邪引いた」




あの……堂本くん、風邪引いてるのになんで学校来てるんですか。