少なくとも、秘密を知られて「最低だ」と文句をぶつけてから始まった、あんな出会い方はゴメンだ。
最初の日のことを思い出して笑うと、俺はゆっくりと立ち上がった。
「いつでも帰ってこいよ、待ってるから」
駒森に向かって呟くと、俺は立ち上がった。
それからは一度も振り返らずに、来た道を歩いた。
あれから二年。
──もうすぐ、駒森の三回忌がある。
さっき携帯で、槙本は、木越と行くんだ、と笑顔で教えてくれた。
駒森のおかげで、皆が変わったんだ。
駒森が見ていたら、きっと「良かった」って嬉しそうに笑うんだろうな。



