優しい魔女は嘘をつく


それに……




「まだ、あれが最後なんて決めてないし。……諦めてないからな、俺は」





俺は、駒森のことが好きだ。





だからあの日、最後に駒森に「さよなら」と言わなかったのかもしれない。



それに、何故かあの時の俺は、また会える自信があった。




じゃあ、まだ思い出の中にいる高校二年の俺を信じたらいいんじゃないか、って思ったんだ。




別に会えなくたっていい。

これが叶わなくたっていい。




最後に「さよなら」なんて言ってて、もし駒森がこの世界に帰ってきたら、会いにくかっただろう。




なんていうか……





また会えたとき、素直に嬉しいって思えるような、そんな出逢い?