優しい魔女は嘘をつく


本当に、俺は俺が大嫌いだった。





でも……今は違う。



諦めがついた、っていうのが最もだ。だって、こうやって引きずって過去を引きずってる時点でカッコ悪いんだし。




俺が俺の悪口を言ったら、駒森がまだ幽霊のままで帰ってきそうで怖いしな。





駒森がいるお墓の前で、俺は手を合わせる。




最後に駒森の気持ちが分かって、後悔もしている。でも、いつまでも引きずっていたって、もう駒森は戻ってこない。




でも、確かに、駒森はあの場所にいたんだ。




駒森のいた時間があって、その時間のなかで、俺は何度笑えただろう。





そして今だって、お前の気持ちを知れて、本当に嬉しいんだ、俺。




だから、嬉しいなら、泣くのは駄目だよな。