優しい魔女は嘘をつく


無意識のうちに、屋上に向かっていた。




階段を上り終えて、重いドアを開く。




冷えた空気が一瞬にして服の隙間から入り込み、体の熱が冷めた気がした。



明るい空が、フェンスの奥に広がっている。町並みも、相変わらず綺麗だな、と思った。





机のある場所に向かう。



そこで俺は、あることに気づいた。花瓶の隣に、びっしりと文字が書かれていた。




ごしごしと擦る。



なんだこれ?誰かのイタズラか?




擦っても擦っても消えない文字に、頭の中が真っ白になる。



そこで初めて、これが駒森によって書かれたものであることに気づいた。




早くなる鼓動。



俺は一度深呼吸してから、文字に目をとおした。