優しい魔女は嘘をつく


今、頭の中には、あの日の朝が浮かんでいた。







駒森がいなくなった日の翌日。



なんだか心に穴が空いたみたいだった。本当に駒森はいなくなったのか?って。



昨日、確かに最後の姿を見送ったはずなのに、疑っている自分がいた。



まだいるかもしれない、なんて淡い期待をしながら教室に向かう。



もちろん、いなかったんだけど。







『堂本くん。……あのお花、明日になったら片付けてもいいからね』






昨日、駒森が言っていた言葉だった。




まぁ、そうだよな。



俺が置いていることを知っていて、ずっと黙っていた駒森。きっと、死人みたいで嫌だったんだろうな。