優しい魔女は嘘をつく

そして、彼は私の前で、まっすぐに私をみつめる。




「寂しくなるな」


「うん……」




私達の間を、冷たい風が吹き抜けた。




「でも、楽しかったよ。本当に……本当に、楽しかった」





私が笑うと、堂本くんも笑ってくれた。



それから私が、向きを変えてドアの方へ向かおうとしたとき。





「またな、駒森」




後ろから小さな声がして、私は思わず足を止める。







「うんっ!またね、堂本くん」





振り向いて、最高の笑顔を見せて強く頷いた後、私は屋上のドアを開けた。