優しい魔女は嘘をつく


私が目を伏せて聞くと、堂本くんの優しい声が頭の上から落ちてきた。




「あぁ、そうだよ。全部──『魔女』が望んだことだ」



「……」



「今、教室で待ってる」



「……うん、行くよ」





静かに頷いて、目を開いた。



空が青く、薄暗くなっていた。星がちりばめられた空にはもう、青白い光を纏った月が上っていた。





堂本くんの手に掴まって、私は立ち上がる。



びゅう、と勢いよく吹いた風が、胸元の髪を揺らした。



目元をごしごしと拭い、私は目の前に立つ堂本くんに向かって言う。






「堂本くん、私……これで最後なんだよ?」