「駒森?駒森だよな……?」
堂本くんの声が、今度はしっかりと聞こえた。夢なんじゃないかと思った。
「ど、もとくん……私……」
でも、私が答えようとしたら、堂本くんは急に険しい顔になって叫んだ。
「っざけんなよ!」
鬼のような形相で近づいてきたかと思うと、次の瞬間ガシャン!と大きな音をたてて背後でフェンスが揺れた。
「お前のこと、どんだけ探したと思って!」
いつもより感情的になり、声をあげた堂本くんに、気圧される私。
彼の瞳の奥には小さくなった私が、今にも泣きそうな顔をしてこちらを見ていた。
目の前にある彼の顔は、確実に怒りを覚えていた。



