優しい魔女は嘘をつく


悲しくて、どうすることもできない気持ちに、胸が張り裂けそうだった。





ねぇ。


最後でいい。最後でいいから。

本当の気持ちを、聞かせてよ。





叶わない願いが生まれる度に、締め付けられるように痛む心。




燃えるような赤が、空一面を覆う。




雲一つない空は、私の心の中とは真逆だった。いっそ、雨でも降ってほしかった。







私……後悔したまま、消えたくない。



伝えたいことも、聞きたいことも、まだ沢山……この胸の奥にしまってあるのに。





ため息をつき、扉の方へと向かっていく彼。また、私に気づかなかった。





「堂本くん…………」