優しい魔女は嘘をつく


ドンッ、と数メートル奥にあった重いドアが、勢いよく開いた。




……今日で何回来てるのよ、もう。





彼は相変わらず不機嫌そうな顔をしていた。何度も辺りを見渡し、屋上を歩き回る。







そこでふと、私はあることを思い出した。





昨日の放課後、堂本くんが言っていた大事な話を、まだ聞いていなかった。




ずっと教室にいなかったんだから。



あの時、もしかしたら、堂本くんは教室に来ていたのかもしれない。





偶然すれ違って、それを聞き逃したなら……私の自業自得、だよね。




本当にそうだったら、と考えたら、酷く胸が痛んだ。




こんなの…………辛すぎるよ。