優しい魔女は嘘をつく


それを聞いて、俺はハッとした。



そういや……




「……ねぇ、かも」



「でしょ?だったらやっぱり、初美は学校のどこかにいるんだよ!」






訴えるように言う木越の目には、涙が浮かんでいた。




確かに駒森は、生徒玄関までは来るものの、いつも追いかけてこなかった。





どういうことだ?



それとも……出られないワケか何かがあるのか?……まさか、駒森自身が外に出るのを怖がっているのか?



そうだったら、つまり、駒森はもう気づいてて……。





「私、もう一回特別教室の方を……」




探してくる、そう言って離れようとした木越の手を、俺は無意識に掴んでいた。