『お母さんとお父さんはね、もう……』
私が二人のことを尋ねたとき、祖母から最初に聞いた言葉だった。
私は幸いそこまで酷い怪我は負っていなかった。だから、すぐに退院できた。
それからしばらくの間、私は学校にも行かず、家で引きこもっていた。
先生が来たから、祖母を電話で呼んだ。進路の話だった。
やる気がでなかった。それでも一生懸命勉強したから、高校には受かった。
高校にいたのは、知らない人ばかりだった。私の過去を知っている人は、そんなにいなかった。
よく知っているのはきっと、咲良と果夏ぐらいだろう。
私は比較的明るく振る舞うようにしていた。事故なんか最初から無かったみたいに。



