優しい魔女は嘘をつく


でも、それだけでは終わらなかった。



その後、その車に押された私達の車に、後ろから車がぶつかってきた。ブレーキがきかなかったようだった。




前と後ろから強い衝撃を受けて、私の体は車中で滅茶苦茶に振り回されていた。



前と後ろのシート挟まれた体。割れて降り注いだガラスが足に刺さり、私は悲鳴をあげた。




身動きがとれなかった。前を見たら、フロントガラスはバキバキに割れていた。



前にいた母と父は悲鳴さえあげなかった。泣いている私の方に振り返りもせず、ただシートに座っていた。



まわりには、赤い液体が飛び散っていた。





……。








そして、気づいたら病院にいた。




あれから私は、四日くらい眠っていたみたいだった。