優しい魔女は嘘をつく


自分が何を期待しているのか分からないけど、とにかくその言葉が嬉しかった。




「言いたかったこと、ってなにかなぁ~」






教室に残された私は、一人で騒いでいた。





飲み物買ってくる、と言って教室を出ていった堂本くん。



たぶん、彼や他の人にこんなところを見られたら、私はもう生きていけないと思う。



変人だと思われる確率が限りなく百に近い。




でも、放課後に教室にいろ、って言ってたし、ずっと話したかったこと……って。





ていうか、私、なんでこんなに期待してるんだろう。もしかして……もしかして、だけど──。




変なことを想像して、私は思わず「ないないないない!」と叫んだ。





焦ったように速くなる鼓動。頬に手を当てると、いつもより熱くなっていた。