優しい魔女は嘘をつく


「堂本くんの、バカ」





思わず叫ぶと、また涙が溢れた。堂本くんは声の大きさに驚き、顔をしかめる。




「なんでよ……なんで、嘘なんか、ついてたのよ」



「……は?」



「魔女、なんでしょ、堂本くんは。なんで私に、こんな……魔法なんか」





訳がわからないと言った風に、堂本くんは怪訝そうな顔をしていた。



やがて意味が分かったのか、堂本くんは驚いたように目を開いてから、はぁ、とため息をついた。





「お前……なんか、勘違いしてねぇか?」




勘、違い?




「俺は『魔女』じゃねぇよ」




「…………え?」