「やだ、行かないで……」 どれだけ頑張って手を伸ばしても、もう届かなかった。影は私から、逃げるように遠ざかっていく。 最初から、そうだったんだろうか。 堂本くんは、私のことが嫌いだったのかもしれない。 だから魔法をかけたんだ。 私を″透明″にすれば、もう関わらなくて済むと思ったんだ。 距離を置きたかったんだ。私から、離れたかったんだ。私が鬱陶しかったんだ。 じゃあ、なんで……? 堂本くんはどうして、私に話しかけてくれるの?どうして私が見えるの? どうして、嫌い、って言わないの?