優しい魔女は嘘をつく


連続して襲ってくるそれは、重い衝撃となって体中に響く。





「う……っ……」





思わず声をあげて、私はその場にしゃがみこむ。なんとか歩いて、近くの壁にもたれた。







涙で滲む視界に映ったのは、私から少しずつ遠ざかる背中。




待って……待って、待って。




今じゃなきゃ……駄目だ。今じゃなきゃ、絶対、後で後悔する気がするんだ。



分かってはいても、体が言うことを聞いてくれない。






「堂本、くん……」





その大きな手を掴もうと、手を伸ばす。けれど私の手は当然のように空を切った。


指先にあった影が、下駄箱に隠れてとうとう見えなくなった。