なんだろう、この複雑な気持ちは……。
考えてみたこともなかった。堂本くんがいることに、今まで私は何も感じていなかったんだろうか。
……でも、分かったことはある。
堂本くんは、周りにいる人と同じで普通だった。どこも違わない。住んでいる世界も同じだった。
考えてみれば、どうして私はそんなに堂本くんのことを知りたかったんだろう。
どうして堂本くんに、ついていくようになったんだろう。
……分からない。
私じゃ、表現できない。
今まで感じたことがなかった感情に溺れて、本当の答えが出なかった。
代わりに、口から溢れたのは。
「堂本くんは、いい人だよ……」



