優しい魔女は嘘をつく


「どうしたの?」




咲良が心配して駆け寄ってきた。もう衣装を着ていない、制服姿のシンデレラ。



頬にはまだチークが残っていて、ほんのり桃色に染まっていた。




顔、まだメイク残ってるよ。私がそう指摘すると、咲良は慌てたように顔を拭った。




「足、大丈夫?」



「靴擦れできてたけど、そんなに酷くなかったし、大丈夫……だけど。初美こそ大丈夫なの?」



「んー?なんで?」





平然を装って応えると、咲良は「顔色悪いじゃん」と眉を下げた。



咲良はそういうところ、前からよく気づくんだよね。……嘘ついても、いつもバレるし。




「堂本くんの手伝いしてたんだけど……なんか頭痛くなってきて。外出てろ、って言われたから、今待ってるところ」




素直に答えると、咲良は「そっか」と溢した。