優しい魔女は嘘をつく


「どうした?」




「……ちょっと気分悪くて」




「一旦外出て休めば?」




「うん……そうする」





堂本くんが指を指した方向に進み、ドアを探す。



ドアノブを見つけて捻って引くと、廊下は眩しいほど光で溢れていた。



ドアの正面にある壁にもたれて、私は床に座る。




はあ、と息を吐き出して、私は膝に顔を埋めた。





今日は、何故かいろんなことがいつもと違う。




劇を聞いているときにもなんとなく体が怠くて、もっと大きい声で応援したかったのに、できなかった。



しかも、文化祭が終わって教室に戻ると、朝にはあった私の机と椅子のセットが消えていた。