優しい魔女は嘘をつく


辺りが暗くてよく見えない。




堂本くんは、目の前でガサガサと何かを漁っているみたいだった。当然、堂本くんは私の声に気づかない。




徐々に強くなっていく頭痛。そこでふと、映像のようなものが、頭に流れ込んできた。





『私、嫌だよ……』





空気にとけてしまいそうな、弱々しい声だった。



あれ?



……これ、って。





『あの時のこと、まだ……ずっと、引きずってる。忘れたくても、忘れられない……』





聞いたことがある。…………そうだ。




あれは私が、初めて「魔女」から手紙を貰った日に───。