なんだろう。
ステージを見てみると、そこには堂本くんがいた。
劇を一番前で見ていた一年生の女子は、ポッ、と顔を赤くして見とれていた。
中にはヒソヒソと話したり、キャーキャーと騒いだりする人もいた。
確かに、その容姿じゃ……ね。
茶色っぽい髪。ビー玉みたいに透き通った瞳。チャラそうだけど、堂本くんは……普通にイケメンなんだよね。
堂本くんが右手で合図をするのが見えて、私は舞台に上がった。
私が数歩歩いてステージに出ると、堂本くんは安心したように私を見た。そして、彼は徐々に近づいてくる。
静かになる体育館に、自分の息の音と、堂本くんの足音だけが響いている気がした。
どく、どく。
鼓動が速くなり、震える息を吐く。



