優しい魔女は嘘をつく


魔女が来て、幕が閉じる。私はゆっくりと、足を進めていく。



ハイヒールなんて履いたことがなかったから、すごく歩きづらかった。



ちょっと油断すると、すぐにカツカツと音が鳴ってしまう。



サイズはちょうどいいはずなのに、指先が痛む。全体重がかっているみたいだ。



幕の中央まで来ると、すぐに「シャラララ」と効果音が鳴った。




一瞬にして暗くなる視界。




二階ギャラリーの窓──カーテンの横から溢れる若干量の光が、頼りだった。



幕の間を抜ける。すれ違いざまに、果夏と目が合った。






「……」




私が舞台の前に出ると、パチン、と証明がつく。




明るくなった視界に目が眩んだ。次の瞬間目の前には、多くの生徒がいた。