優しい魔女は嘘をつく






「それでは続いて、二年四組の演劇──【シンデレラ】です」










実行委員の人が、マイクで喋っているのが分かった。


それに続いて、大きな拍手の音が聞こえてきた。





どくん、どくん。




心臓が、喉の奥で鳴っているようだ。




緊張をほぐすために、私は左手に「人」と指で書いて、何度も飲み込む。



拍手が止むと、すぐにナレーターの中本さんの言葉が耳に飛び込んでくる。





「昔々あるところに、シンデレラという、一人の少女がいました」





それから、少し長めの台詞の後、ステージの幕がゆっくりと開いた。