優しい魔女は嘘をつく


堂本くんと席が近くなってから、私も初美も、彼とよく話すようになった。



最初は気まずかったけど、今の堂本くんは、少し丸くなった気がする。



授業中に机を蹴飛ばしていきなり教室を飛び出すこともないし、怒らなくなった……というか。




初美もそれを感じているのか、やたらと積極的に話しかけていた。




そして、「シンデレラ」で接点もできて、今では普通に喋れるようになっていた。





「じゃ、一番前で見てるからね」





今日の初美は、いつにも増してニコニコしていた。



初美がドアから出ていくと、堂本くんは「じゃ、行くな」とステージの反対側に向かっていった。




私はステージの左側で、堂本くんは右側で待機。




魔法がかけられた時に果夏と入れ替わり、そこから舞踏会が終わるところまでが私の演じる部分だ。