「え?あ、ううん。私はもう終わったよ」



「そっか!いや~、やっぱり咲良は美人だね。遠くからでもすぐ分かったよ」




そんなこと言われたら、恥ずかしいよ。



ありがとう、と私が返すと、初美は何かに気づいたように「あれ?」と呟いた。




「堂本くん、いないね」


「え?あ、確かに……」




ステージを見ても、確かに堂本くんの姿はどこにもなかった。



本番五分前。



ステージでの準備がよりいっそう慌ただしくなる中、堂本くんが行方不明。



なんで?さっきまでいたのに……。





「時間ヤバイよね?……私、ちょっと探してくる!」





そう言って、初美が堂本くんを探しに行こうとした時だった。