優しい魔女は嘘をつく


私はポカンとして、しばらく堂本くんを見つめていた。




え、え、ええええええぇっ!?





「う、うん。いい、けど」と途切れ途切れになって答えると、堂本くんは台本を持って、静かに息を吸い込んだ。




まさか、本気で……やるつもり?




驚いたけど、私は何も聞かなかった。シンデレラの台詞はなんとなく知っているから、できる。



いいよ、と私が合図すると、堂本くんは口を開いた。






「美しい姫、私と踊っていただけますか?」






そう言って差し出された手は、微かに震えていた。




恥ずかしさと緊張から、堂本くんの表情はかたくなっている。



私はしばらく沈黙を置いてから、答えた。