「はい？」
堂本くんがポツリとこぼして、急に立ち上がり、鞄を肩にかけた。
そして、先生の話が始まっているというのに、私の横を通って体育館の出口へと向かっていく。
ちょっと、どこいくの？
私が慌てて聞いても、堂本くんは答えてくれなかった。
驚いたようにこちらを見るクラスメイト達。振り向くと彼らが見えて、私はまた「ねぇ」とか「戻ろうよ」と後ろから声をかけた。
触れられないから引き留められない。言葉だけじゃ……堂本くんに勝てないに決まってるのに。
廊下に出て、階段を上り、廊下に出て、階段を上り。向かっている所の察しは、なんとなくついていた。
「堂本くん、まだ先生の話終わってないじゃん。戻らなきゃ」
しつこく話しかけていたら、それまで黙っていた堂本くんに、とうとう「うるさい」と返されてしまった。
