優しい魔女は嘘をつく


足が、動かなかった。




ここに来た途端、まるで魔法でもかけられたみたいに、その場から動けなくなった。



少しだけ、後ろに足を引いてみる。



ジャリ、と上履きが砂を引きずる音がして、数センチ、私の影が動いた。






……さっき、どうして動かなかったんだろう。






手足を見ると、薄くはなっていなくて。手を握ったり開いたりしてみるけど、ちゃんと感覚はあった。





ただ、膝が笑っていただけだった。





「……これも、魔法……?」





一人呟くと、吐いた息が微かに白く濁って、一瞬にして周りの空気に溶けて消えていった。




怖くなって、私は逃げるようにその場を離れた。