「急に授業中に椅子を蹴飛ばされると、居眠りの妨害になるので困ります」
私がキッパリと言うと、堂本くんは「な……」と顔を歪めた。
けど、そこで終わってしまうからいけないんだと思う。
普通の人ならそこで終わろうとするから、いけないんだと思う。
「でもね、そういう所だけを見てると分からないことがあるの。自分と相手の共通点だとか、相違点だとか。……それって結局は、その人の近くにいないと分からないんだよ」
″透明″になって、沢山分かったことがあった。
学校一の不良という噂の流れた彼は甘党で、月一で絶対にケーキを買うような人だってこと。
″透明人間″の私に、自分から話しかけるような人だってこと。
かっこよくて優しくて、それこそ──「王子」みたいな人だってこと。
もし私が″透明″じゃなかったら、彼と近づくことはなかったかもしれない。



