その現宗主が、微かな動揺を窺わせる。

目の前を通過するのは、滑らかな赤い髪をしっとりと濡らした美少女。

その素肌には、バスタオル1枚巻いただけ。

…自慢する、いやさせろ。

俺の嫁、夕城 鬼龍は最強の嫁だ。

二代目けしからん娘の称号を受け継ぎ、見る男全てを悩殺せしめた、拳も乳も最強の嫁。

だが、だがだぞ。

この目の前を通過する小娘はどうだ。

俺の嫁の若かりし頃を彷彿とさせる魅力的な肢体ではないか。

ええい違う、断じて違う。

鬼龍という嫁がいながら、この目の前の美少女に現を抜かしそうになっている訳ではないぞ。

断じて違う。