つまり修学旅行先で、龍一郎が危惧していたような事態は何ひとつとして起きず、狂乱ながらもいつも通りの天神学園の日常が繰り広げられただけであり。

「……」

その様子を物陰から見つめる、前髪で目の隠れた少年が目撃されたという報告が離宮の侍女から上がったが、真実の所は定かではない…。