天神学園の奇妙な案件

そんな中。

「修学旅行はお前らの学年だから…まぁ楽しんでいってこいや」

龍一郎苦笑い。

彼の事だから、天神学園伝統の密航してまでついて来ると思っていたのだが…。

『あの事を心配しているのだな、龍一郎』

龍一郎だけに、禿鷲が呟く。

…龍一郎が元いた時代の歴史では、このミルトゥワへの修学旅行で、大事件が起きた。

旅先で龍一郎が禿鷲に肉体を乗っ取られた時期があったのだ。

魔族の王以来の災厄かとさえ危惧された事件。

実際はミルトゥワに大きな被害は及ぼさなかったものの、その事件を収束させる為に尽力した他の一味の面々は少なからず傷を負う。

そして、その龍一郎の妹が蒲公英だという事が知れ、ミルトゥワでは物議を醸したのだ。

龍一郎の誠心誠意の謝罪、ティーダの説得により、蒲公英は晴れてティーダとの婚約をミルトゥワの民全員に許された。

災厄は災厄。

禿鷲の悪名がミルトゥワにも轟く、大きな事件であった。

…今の禿鷲ならば、そんな悪辣とした事件を起こす事はないだろうと信じている。

だが、歴史が本来の流れ通りならば、これは規定事項だ。

禿鷲自身にそんな気はないとしても、誰かに操られたり、そんな事はあるかもしれない。

龍一郎がこの修学旅行に参加しないのが、一番の安全策だろう。

「禿鷲の事信じてねぇ訳じゃねぇけど、これだけは歴史改変してでも回避しなきゃいけ…」

ゴスッ。