天神学園の奇妙な案件

松葉杖を使って、龍一郎が河川敷をすずと共に歩く。

小春日和の昼下がり、散歩に行きたいと誘ったのは、龍一郎だった。

「もうすぐ寒くなるから、こういう日は貴重なの」

「確かにな。今日は体もそんなに痛まねぇや」

禿鷲の時凍えを全力で使用した代償として、筋肉や骨格に多大なダメージを受けた龍一郎。

全治1ヶ月。

無茶な運動は控えなければなるまい。

今も松葉杖無しでは、まともに立って歩けない。

だが、じっとしていても治りはよくならない。

リハビリも兼ねた散歩だった。

「それに」

すずは龍一郎の横顔を見てはにかむ。

「龍一郎から誘ってくれたのは、嬉しいの」