天神学園の奇妙な案件

無理だ。

審判のヴラドは思う。

こいつは、立てなどという言葉では立ち上がらない。

こいつを立ち上がらせるのは、そんな言葉ではないのだ。

ティーダの父・シオンの盟友であるヴラドには分かるのだ。

こいつを…グリフィノーの男を立ち上がらせる言葉は唯一つ。

「ティーダっちっっっっっ!」

蒲公英が叫ぶ!

「皆を!天神学園を護ってよぉおぉおぉおぉっ!」

「……っっ……」

ティーダの体が、ピクリと反応した。

そう。

立てと言われても、限界の肉体は動かない。

だが護る為ならば。

誰かを、何かを護る為の戦いならば、グリフィノーの勇者は何度でも立ち上がるのだ。

彼らグリフィノーは、護る為の剣なのだから。

消耗し切った体で、膝を震わせながら、ティーダは立ち上がる。

一味の仲間達が、大きく両手を掲げて歓喜を露わにした。