天神学園の奇妙な案件

『シオン・グリフィノーは』

突然、声がした。

『この鴉丸 禿鷲様と戦った時、たった5分の時間にみっともなく縋り付いたなぁ…』

それは、龍一郎の内からティーダに語り掛ける禿鷲だった。

『シオン一味総出で、見苦しく足掻いて足掻いて、未練がましく纏わりつき、最後にはあの忌々しいメメントモリで俺を叩き潰した…所詮は人間と侮ったのが敗因か。くそ、気に入らん』

「……?」

何の話だ?

ティーダは訳が分からない。

『炎を熱がり、斬られれば痛がる脆弱で貧弱で惰弱な人間の分際で、臥龍たるこの俺を倒すとはな』

禿鷲は続ける。

『氷を冷たがり、闇に包まれれば見えぬと怯える脆弱で貧弱で惰弱な人間の分際で、臥龍たるこの俺を倒すとはな』

もう一度、禿鷲は言った。

『どんなに強い力を持とうと、所詮は人間だというのにな』