右手を振り下ろすティーダ。

女王の治癒の力が、龍一郎の身を包み込む。

消えていく痛み、想像を絶する激痛が、肉体から緩和されていく。

血が滴るほどに食い縛っていた歯が緩む。

力むあまりに苛まれていた頭痛がなくなる。

それでも。

「ぎ…ぎぎぎ…!」

龍一郎は、その癒しに抗う。

意識を保っていなければならない。

気絶してはならない。

気絶したら負けだ。

負けたら、誰がルカを倒すんだ。

歴史改変を誰が阻止するんだ。

すず先生から託された使命はどうする。

生まれて来る筈のベルは、どうなっちまうんだ。

「ちく…しょ…お……っ……っっ」