天神学園の奇妙な案件

当然かもしれない。

今のすずは、龍一郎を龍一郎と見ていない。

内に封じられた禿鷲とも見ていない。

すずが龍一郎の中に見ているのは、嘗て憧憬してやまなかった伝説の男。

今は亡き丹下 龍太郎とタイマントーナメントの舞台で戦えるのならば、こんな嬉しい事はない。

好き合っている龍一郎と傷付け合うと考えれば悲しい事だが、ここは考え方を変えてみよう。

天神学園に語り継がれている男との、唯一無二の勝負のチャンス。

そう考えれば、この残酷な戦いも楽しめる。

「成程ね…成程成程…」

頭を片手で押さえつつ、龍一郎は立ち上がる。

「そういう考え方もあんのか…すず先生にもツレェ思いさせてんのかと思ってたが…そういう前向きな考え方してくれてんなら、ちっと気持ちが軽くなったぜ」

首をぐるりと回して、まだダメージが小さい事を確認する。

「俺が龍太郎じいさんとどこまで似てるかは知らねぇが…楽しんでってくれや!」