天神学園の奇妙な案件

拳を握り締め、構える龍一郎。

対するすずは、黒いボディスーツを纏い、自然体のまま立つ。

共に開始線からは動かないまま。

「…くそ」

龍一郎は小さく毒づく。

戦いづらい、その一言に尽きよう。

龍一郎にとって、すずはこの時代での唯一の秘密を共有する者であり、歴史改変に立ち向かう味方であり、愛する伴侶になる女だ。

それがどういった嫌がらせか、今この場で戦う事になってしまった。

勝ち上がれるのは1人だけ。

勝ち上がった方が、歴史改変阻止という大役を一身に背負わなければならない。

トーナメントである以上、何れは戦わなければならなかった。

しかし、何も初戦で…。

そんな思いが、龍一郎の足を重くさせる。