『或いは』

禿鷲は呟く。

『未来の出来事を知っている俺達こそが、この時代での特異点なのかもしれん。未来を知っている人間など、本来この時代にはいない筈なのだからな。未来を知っている時点で、俺達は既に世界を変えてしまいかねない存在という訳だ』

「この時代や歴史を変えちまう為に、誰かが俺達を過去に送り返した?」

『…仮定だがな』

「…龍一郎、禿鷲と話してんのかあ?」

話に置いてけぼりのティーダが、退屈そうな顔をする。

と。

「あ!ここにいた!」

蒲公英が血相変えて、教室に駆け込んできた。

「ん?どうした蒲公英」

「ルナっちが!」

息を乱しながら、蒲公英は言う。

「ルナっちが、学園に押し掛けてきた真久部っちに呼び出されて!」