『ただ』

禿鷲は続ける。

『俺達を過去に戻らせた何者かがいるのは間違いないという事だ。世界による修正力を考慮に入れてか入れずか、歴史改変を目論んだ者がいるという事だ。どういった方法を使ったのかは知らんがな』

「何の為に?」

『それは分からん』

龍一郎の質問に、禿鷲は答える。

『貴様の娘か吸血鬼娘の息子が邪魔だった故に生まれなくしようとしたのか、それともこの時代この時期が特異点だったのか』

「特異点?」

『ターニングポイント…というのか?この時代のこの出来事がなければ、歴史は変わっていたかもしれない…そんな重要な点の事だ』

なかなか博識な禿鷲。

龍一郎にはついて行けない。